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子宮内膜症による不妊の治療



子宮内膜症による子宮、卵管、卵巣の癒着とチョコレート嚢腫

 子宮内膜症は子宮の内側の膜が子宮の内側以外の場所にできてしまう病気です。子宮内膜症の部位からは月経の度に出血しますが、出口がないので病巣に血が貯まってしまいます。これを吸収するために炎症が起こり、卵管と卵巣、子宮、骨盤壁、腸などが癒着します。子宮内膜症がひどくなると貯まった血が嚢腫をつくることがあります。貯まった血がチョコレート色をしているのでチョコレート嚢腫と呼びます。子宮内膜症があると癒着をおこして卵管に卵子が取り込まれにくくなったり、卵管の中を卵子が運ばれにくくなったりするだけでなく、炎症のために受精も妨げられてしまいます。

 子宮内膜症は非常に頻度の高い病気で、腹腔鏡を行うと不妊の方の約60%にみつかります。
 子宮内膜症による不妊の治療には薬物療法と手術療法、そして体外受精があります。

 薬物療法でよく使われるのがGn-RHアゴニストと呼ばれる薬です。この薬は卵巣からのホルモンの分泌を抑制し月経を止めてしまう作用を持っています。月経なければ子宮内膜症からも出血しませんので、貯まった血液は次第に吸収されます。この薬には点鼻薬(スプレキュア、ナサニールなど)と注射(リュープリン、スプレキュアMPなど)がありますがいずれも作用機序は同じです。点鼻薬は毎日使う必要がありますが、注射は1ヶ月に一回だけです。治療は月経が始まったらすぐに開始します。治療は4〜6ヶ月続けます。治療が終わると月経痛なども軽くなり妊娠しやすくなりますが、月経を止めている間に内膜症が完治するわけではないので時間がたつと再発する可能性があります。

 子宮内膜症の薬にはこれ以外にダナゾールという内服薬もあります。この薬も月経を止める作用を持っており子宮内膜症には有効ですが、太りやすい、肝機能が一時的に障害される、吹き出物がでるなどの副作用の頻度が高いのが欠点です。

 子宮内膜症の手術療法は最近では腹腔鏡で行われることがほとんどです。お臍のところから挿入した腹腔鏡で見ながら癒着を剥離し、子宮内膜症の病巣を焼灼します。チョコレート嚢腫を作っている場合には悪いところだけを核出してしまうこともできますし、アルコールで固定することも可能です。腹腔鏡でアルコール固定するときには前もって腹腔内に生理食塩水を入れておき、万一アルコールが漏れても薄まるようにしておき、内膜症以外の場所がアルコールで影響を受ける危険を防ぎます。

 体外受精も子宮内膜症が原因で妊娠しにくい時にきわめて有効な治療です。体外受精では卵巣から採取した卵子と精子を体の外で受精させて子宮の中に戻しますので、内膜症で卵管や卵巣に癒着があっても妊娠には全く問題ありません。



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