大谷産婦人科 不妊センター

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  着床前診断とは 流産を減らすために 習慣流産の予防のために

着床前診断


着床前診断を望む方の声

◆ 着床前診断は流産を予防することのできる技術です。

着床前診断(受精卵診断)は受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する前に、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる医療技術です。この診断を受けた最初の赤ちゃんの誕生が1990 年に報告され、以降世界中で1,000 人以上の元気な赤ちゃんが着床前診断を受けて生まれています。したがって、1992年に最初の出産例が報告され、現在一般的な不妊治療として実施されている細胞質内精子注入法(ICSI)による顕微授精より長い歴史を持っていることになります。

着床前診断は不妊症や習慣流産などでお悩みの方が新しい命を育むための技術です。

自然の妊娠では体の中で受精した受精卵の内、 25 〜 30% しか赤ちゃんとして生まれてこないことが知られています。これは、受精卵の多くに染色体異常があるため、着床しなかったり、着床しても流産や死産を起こしてしまったりする事が大きな原因の一つです。受精卵の内、染色体異常を持つものの割合は34歳以下の方で59%、35〜39歳の方で63%、40歳以上の方ですと74%にもなります(Munne et al. 1995, Marquez et al. 2000) 。染色体に異常をもつ受精卵の97%以上は着床しても流産、死産してしまいます。最も流産の可能性が低い21番染色体のトリソミーでも、流産、死産の確率は約8割にのぼります(沼部博直、産婦人科の世界 53, 771-781)。一方、流産胎児の染色体を調べると66%に染色体異常が認められますが、新生児の染色体異常は1%以下ですから、染色体異常を持つ受精卵が妊娠しても殆どが流産してしまうことは明らかです。

着床前診断を受けると、もともと染色体異常で着床できなかった受精卵、あるいは流産する運命にあった受精卵を調べて、胎児として発育できる受精卵だけを子宮に戻すことができます。体外受精後の流産はこういった受精卵の染色体異常による場合が多く、着床前診断を受けることで、流産率が減少することが証明されています。着床前診断は不妊症の方が流産を回避して、新しい命を育んでいただくことを可能にする技術なのです。

また、染色体の相互転座による習慣流産の方の場合には一般に受精卵の約17%しか、発育して出産まで至ることのできる染色体を持っていませんが、着床前診断により、新しい命になる可能性のある受精卵だけを選んで子宮に戻すことができます。相互転座による習慣流産の方の流産率は80〜90%と報告されていますが、着床前診断によって一般の方と同じか、それ以下の10%前後まで低下させる事が可能です。大谷産婦人科では相互転座の着床前診断によって、一回で半数近くの方が妊娠されております。

流産を繰り返すと子宮に傷が付いて、子宮内癒着を起こす可能性が高くなるのも大きな問題です。一回の流産で子宮内癒着が起こる確率は18.8%、流産を繰り返している方では47.6%に子宮内癒着が認められると報告されています(Romer T et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 1994 Dec;57(3):171-3)。子宮内癒着が起こると着床が妨げられて不妊症になったり、さらなる流産の可能性がますます高くなったり、もし分娩まで到達しても癒着胎盤による大出血の原因になる可能性があります。着床前診断によって流産を予防すれば、重大な帰結をもたらす可能性のある子宮内癒着の予防にもつながります。


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FISH法による受精卵の染色体検査



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